リノベーションの制約
リノベーションは解体後に行う建て替えと違い、もともとある建物を使う工事のため、自由度がある反面、様々な制約もあります。ここでは、マンションや一戸建ての建物ごとのリノベーションの制約について解説していきます。
マンションにおける制約
マンションのリノベーションの制約は、建物の構造に関するものと、管理規約によるものがあります。
ラーメン構造と壁式構造
マンションの構造は、大まかに分けて「ラーメン構造」と「壁式構造」の2種類となります。
ラーメン構造の場合、柱によって建物を支える仕組みとなっていることから、リノベーションをする場合、壁を解体することで間取りを変更することも可能となっています。
もうひとつの壁式構造は、文字通り壁で建物を支える方式のため、耐久性に優れているのが特徴です。比較的、築年数の古い団地などで使われている工法です。
リノベーションを行う時は、解体をしてはいけない壁があるため、デザインを考える際には、その点を踏まえておく必要があります。
パイプスペース
マンションのリノベーションの際、お風呂やキッチンといった水回りを移動させる場合には、パイプスペース(PS)を考慮する必要があります。
パイプスペースは、部屋の給排水管が集まっている場所であり、ここを無視して水回りを移動させることはできません。パイプスペースとお風呂などの距離が離れすぎてしまいますと、本来給排水をするために必要な勾配が設定できずに、後々の故障や不具合につながるためです。
管理規約
マンションのリノベーションでは、管理規約による制約もあります。仮に建物の構造的にリノベーションが可能だったとしても、管理規約によっては認められないケースがあります。
例えば、畳をフローリングやカーペットに変更しようとしても、管理規約で床材の変更が禁止されていることが明記されている場合、変更することはできません。その他、あらかじめ決められた電気やガスの容量を超えるような変更ができないこともあります。
そのため、マンションを購入する前に、事前に管理規約を確認しておくことも重要なポイントとなります。
専有部分と共用部分
マンションには専有部分と共用部分があり、リノベーションができるのは専有部分だけです。
共用部分には、廊下や階段、建物の出入り口やバルコニー、玄関や窓が含まれます。リノベーションを前提として購入する場合には、共用部分のデザインや使い勝手もきちんとチェックしておきましょう。
一戸建てにおける制約
一戸建てのリノベーションの制約には、建物の工法(構造)と、都市計画法および建築基準法といった法律によるものがあります。
建物の工法(構造)
一戸建ての工法には、木造軸組工法やツーバイフォー(2×4)工法、それからプレハブ工法が採用されることが多いようです。木造軸組工法は、昔ながらの日本家屋といった感じの、木製の柱や梁によって建物を支えるやり方です。
ツーバイフォー(2×4)工法は、天井と壁と床の面を利用して建物を支えます。プレハブ工法は、事前に工場で制作した天井や壁や床を、現地で組み立てていき、面で建物を支えます。
リノベーションの際に注意したいのは、ツーバイフォー(2×4)工法もしくは、プレハブ工法が採用されている建物です。この2つの工法は、建物を支える役割の「耐力壁」を解体することができないことから、間取りやデザインの制約が発生するためです。
都市計画法と建築基準法
一戸建ては建物の増築ができるメリットがありますが、増築は都市計画法や建築基準法で決められた範囲内で行う必要があります。
例えば、敷地面積における延床面積の割合を示す「容積率」や、敷地面積の中の建築面積の割合を示す「建ぺい率」の各地域ごとの上限が基準となります。
他にも京都のように、景観法による建物のデザインや高さの制限がある地域や、木造建築が禁止されている防火地域、外壁などが耐火構造であることが求められる準防火地域などがあります。